同じことで困っている人はたくさんおられます。質問するだけでも貢献に繋がります。
イノシシの肉には寄生虫がいるのでしょうか?ジビエが流行っているようですが、安全性が気になります。
イノシシには寄生虫がいることがあります。また、国立感染症研究所によると、寄生虫だけではなく「カンピロバクター等の細菌やE型肝炎ウイルスが検出されている」とのことです。
イノシシの肉は、決して生では食べないでください。中心部まで火が通るようしっかり加熱して食べることが重要です。目安は「中心部を 75℃で 1 分間加熱」です。
これはどの食肉にも言えることです。厚生労働省によると、「食肉による食中毒防止のための加熱条件として、中心部を 75℃で 1 分間加熱することが必要」とされています。
「75℃、1 分」と同等な加熱殺菌の条件として、「70℃、3 分」、「69℃、4分」、「68℃、5 分」、「67℃、8 分」、「66℃、11 分」、「65℃、15 分」が妥当だそうです。
また、調理の際に肉に接触させた調理器具などはしっかり洗剤で洗って消毒することも重要です。しっかりと洗っておかないと、他の食材に菌が付着する危険性があります。
殺菌するにはアルコールで消毒するのが手軽かつ確実です。詳しくは参考資料をご覧ください。
参考
国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/route/parasite.html?start=3
https://www.niid.go.jp/niid/ja/route/parasite/1966-idsc/iasr-in/5042-kj4165.html
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032628.html
活動場所 :広島県
このFAQにコメントがあればお願いします。
イノシシ肉の寄生虫について補足説明します。
厚生労働省が平成23〜25年にイノシシとシカで調べた病原体保有状態の調査では、約50%の高い率で寄生虫卵が糞便に検出され、それらによる病気も多く見られています。寄生虫自体が見つからない場合でも、感染を疑わせる好酸球による炎症が認められています。
イノシシに特徴的なのはウェステルマン肺吸虫で、人が感染すると虫体が肺で成熟して血痰を出し、気胸、胸水貯留、胸痛などの症状が現れます。
これによる感染は宮崎県や鹿児島県で捕獲されたイノシシによく見られ、生色かそれに近い食べ方で感染すると呼吸器症状が出ます。
この幼虫はサワガニに寄生していて、それをイノシシが食べることで感染が移ります。サワガニを−18℃の2時間で冷凍処理するとこの幼虫の感染性が消えることがわかっています。
通常、ジビエ肉はそれより低い−27℃ほどで冷凍保管するため、こうした衛生基準が守られていればこの感染症は防げることになります。
他にも世界的に感染が見られるトリヒナ(旋毛虫)症も少しですがイノシシに見つかっています。
しかしイノシシ肉には他にE型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸菌 O157 感染症の病原菌保有の可能性もあるため、冷凍だけでは防げない病原体から身を守るためには、加熱調理が必要で生色は厳禁されています。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000052751.pdf
(野生鳥獣の病原体保有状況調査の結果について)
困ったことがあれば、気軽に聞いてみましょう。似た質問がすでにあっても遠慮はいりません。状況は1人1人違います。また最新の情報が出てくるかもしれません。