同じことで困っている人はたくさんおられます。質問するだけでも貢献に繋がります。
最近、都市部に出没するイノシシが増えており、アーバンイノシシと呼ぶそうです。
ゴミを漁ったり、人間を襲うこともあるそうです。
なぜ増えてしまったのでしょうか?山に餌がないからですか?
アーバンイノシシという言葉は初めて聞きましたが、ニュースなどを見る限り都市部でも最近被害が増えているようです。
イノシシの生息数、生息域が拡大しているので、ついには都市部のすぐそこの野山まで広がっており、迷い込むなどして徐々に市街地に出没しているのではないでしょうか?
イノシシが都市部に出没し始めたのはここ5年くらいでしょうか?また、山間部で被害が深刻化したのも平成に入ってからですが、山の環境はここ数十年を見ても大きく変わっていないはずです。なので山の環境の変化が主原因ではないと思います。
山では得られないような高たんぱく質、高カロリーの餌が大量にあるわけですから、一度その味を覚えてしまうと山に餌が多少あったとしても出没するのではないでしょうか?
生ゴミなどや、都市部では餌付けする人も一部おられると聞きます。
原因は二つ考えられます。
①都市部には高たんぱく高カロリーの美味しいエサが手に入りやすいから
②山間部や里の過疎化や高齢化、狩猟者の減少により人間の活動力が低下し、抑制圧がなくなってしまったから
田舎の町で防衛ラインをひきづらくなり、イノシシが町の方へ進出しやすくなっています。また、町へ出てきても、人間に襲われることがほとんどありません。しかも、町には美味しく高カロリーのごちそうが沢山手に入ります(家庭ごみなど)。
一方、山では人間に襲われる心配はありませんが、エサを得るのは一苦労。一生懸命捜しまわる必要があります。
そうすると、イノシシはどちらを選ぶでしょうか?「町は安全で美味しいエサが手軽に手に入る。町に行く方がイイ!」と感じてしまうわけです。
都市に現れるイノシシについて補足します。
都市部で捕獲されたイノシシの胃の内容物を調べた結果、昆虫や植物の根の未消化物よりは、飴などの貸しの包装ビニールや弁当のおかず仕切りなどが多く見られ、おっしゃる通り高カロリーと高塩分のものを街で得ていることを裏付けています。
イノシシは生息個体数の推定が難しい動物で、正確なところは今もって分からず、環境省の推定数でも大きな幅があり、地域によっては都市へあふれ出るほどイノシシが増えてしまっている可能性があります。
福岡市内でもイノシシが出没していて、近郊の山村や農村では台風や大雨の災害により、復旧がままならず、住民が半減したり、耕作放棄地が一気に増えたりして、一層イノシシなどが増えやすくなっています。
そして山間地から流れる川が都市部へつながっているところも多く、イノシシが川伝いに市街地へ、そして都市部へと伝わって行きやすくなっています。
都市部では猟師もいず、人に襲われることが無いため、そこを安全な場所と学習してしまい、人間は危険な動物ではなく、神戸市内でのように、ご馳走をぶら下げた存在になってしまいます。
同じことはヨーロッパでも起きていて、ドイツのベルリンでは公園の緑地や空き地などで都市化したイノシシが1万頭ほど生息していると推定されています。これは山が近いスペインのバルセロナでも起きています。
イタリアでも山村や農村から都市部への人口流出が多く、耕作放棄地が森林に戻り、イノシシなどが増えています。イタリアでは山中にオオカミもいますが、イノシシの個体数抑制には貢献しておらず、むしろ家畜に被害をもたらしています。
参考資料:
平成27年・国際シンポジウム報告書「なぜイノシシは都市に出没するのか」(兵庫県森林動物研究センター)
http://www.wmi-hyogo.jp/publication/pdf/mono_monograph08.pdf
困ったことがあれば、気軽に聞いてみましょう。似た質問がすでにあっても遠慮はいりません。状況は1人1人違います。また最新の情報が出てくるかもしれません。