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イノシシの牙は切れ味が鋭く、体当たりされたときに足の動脈を切られて失血死することがあると聞いています。
イノシシはなぜこんな鋭い牙を持っているのでしょうか?普段は何に使うのでしょう?
イノシシのオスの牙がなぜあれほど鋭く長いのか、はっきりとはわかっていないようです。牙が鋭いのは、毎日せっせと牙研ぎをしている成果でもあります。自分の歯で自然と研がれるのもあるそうですが、森を歩いているとイノシシが木の幹で牙をこすりつけて研いだ形跡を発見できます。そんなに大事に研いでいるということは、「オス同士の縄張り争いや恋の戦いに活躍するのでは?」と思いますよね?実はそうでもないようです。オス同士の争いでは鼻をぶつけ合って戦うことがほとんどで、牙を使うことは滅多にないそうです。更に、立派な牙があるのはオスだけではないようです。先日、100kgを超えるイノシシのメスを捕獲しましたが、メスにもかかわらず立派な牙がありました。じゃあ、その立派な牙は一体何のためにあるのか?と聞きたくなりますね。昔は天敵のオオカミがいたため、それらと戦うために利用していた名残である説が有力なようです。余談ですが、イソップ物語の『こころの朝』という作品では「猟師もいないのに一生懸命牙を研いでどうするの?」とキツネに聞かれたイノシシが「危険は不意にやってくるから常に備えているのさ」と答えるシーンがあります。童話の作者もイノシシの牙については疑問があったのかもしれませんね(笑)
Fugoさん、詳しい回答ありがとうございます。木の幹で牙をこすりつけて研いでいるのですか、それであんなに鋭くなる
昔は狼と戦っていたなら納得です。牙を鋭くする本能が残っているのですね
たけしさん、こんにちは。少し補足させてください。
イノシシの牙は動物の犬歯と同じですが、ネズミの前歯やゾウの象牙のように一生の間で伸び続けます。
イノシシでは上顎から下がる牙が上に湾曲して下顎から伸びる牙と擦り合わさり、下の牙を研ぐ役目もしています。それで猟犬や人へも大怪我をさせるほどの武器にもな理、また地面を掘るのにも使っています。
しかし肉食動物ような狩りをしないイノシシでは、牙が外側に湾曲して伸びているので、どんぐりや芋類などを擦りつぶして食べる時に顎を横に動かす運動の邪魔にならないようにできています。そして芋などを食べるときも上下の牙も擦り合わされるようになり、狩には役立たない形をしています。
それでイノシシのオスは脅威と感じた動物に対してこの牙を打ち鳴らしたり、牙を大きく剥き出して威嚇するそうです(私はその場面に出くわしたことがありません)。メスでは牙がオスより小さいので、牙を武器にできず、むしろ噛み付くことで身を守ろうとします。
イノシシの牙は植物質を食べるのに合わせて、今の形に進化したようです。Fugoさんのおっしゃる通りオス同士の争いには使われず、いざと言う時の襲ってくる相手に致命傷を与えられるほどの武器として、やはりオオカミなどへの対処のために残ったのでしょう。
ブタでも小さいですが、似たような牙が生えます。これは子豚の時に切り取ってしまうので、大きく成長しても残っていません。
困ったことがあれば、気軽に聞いてみましょう。似た質問がすでにあっても遠慮はいりません。状況は1人1人違います。また最新の情報が出てくるかもしれません。