同じことで困っている人はたくさんおられます。質問するだけでも貢献に繋がります。
戦前は鹿の生息数は今と比べて少なく、現在行われているような駆除ではなく、むしろ保護する政策だったようですが、どういった理由からなのでしょうか?
戦前は鹿の生息数は減少しました。
理由は明治維新後に毛皮の需要が高まったこと、たび重なる食糧難のために乱獲されたためです。
農耕が始まって以来、江戸時代以までも野生鳥獣が農作物を食害する被害は大きな問題でした。明治維新の段階では現在と同じくらいの鹿がいたという推計もあります。
明治期では人口が増え、食糧増産も図られて平地では農地が広がり、野生動物は平地から山地へと追われます。
また軍の防寒用具用と輸出のためにシカの皮の需要も多く乱獲され続けました。度々の食糧難も起こり大戦前後まで野生動物の狩猟は盛んに行われてシカの数も規制を強化しなければいけないほどに減りました。
明治政府は野生鳥獣の減少を懸念して狩猟規則を制定し、絶滅を避ける処置を取ったものの昭和に入っても戦後直後まで乱獲は続き、個体数は著しく減少しました。戦後の昭和25年にはメスが禁猟となり、1道6県ではさらに全面的な捕獲禁止となりました。
その間にもシカの数は少ないままであり、昭和53年にはオスジカも1日1頭の捕獲に制限されました。こうした捕獲制限と保護政策さらに森林の拡大造林と相まって、その後にシカの数は増加に転じます。
森林における 鳥獣被害対策のための -森林管理技術者のためのシカ対策の手引き ガイド - (平成24年3月版)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/pdf/gaide_all.pdf
シカの異常増加を考える 揚妻直樹 北海道大学・北方生物圏フィールド科学センター・和歌山研究林
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/54808/1/65_2_108_116.pdf
このFAQにコメントがあればお願いします。