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鹿は草食ですが、具体的にはどんなものを食べているんでしょうか?
鹿は植物性のものならなんでも食べると言って、過言ではないです。
鹿は亜寒帯の北海道から亜熱帯島まで広く分布しています。そのため、食べるものも地域、季節、空間的変化によって大きく異なります。その数は1000種類以上とも言われており、その多くがイネ科草本からササ、木の葉、どんぐりなどの植物です。植物が少なくなってくる厳冬期にはササのほかに、冬芽、枝、樹皮、落ち葉などを食べて生き延びます。
北海道などに生息するエゾシカが好むのは、イチイやトドマツ、アカエゾマツなどの新植苗であり、樹皮剥ぎを発生させています。新植地では、比較的柔らかい葉であるヒノキの被害が大きいですが、最終的にはすべての植栽木が食害に遭います。広葉樹の植栽木は特に被害が大きく、ほとんどが食べられてしまいます。
鹿も森林生態系の一員として生活していますが、鹿が高密度になることで鹿の食べない植物ばかりが繁茂してしまいます。すると、樹皮剥ぎによる樹木の枯死や若木の減少によって森林の構造が変化して、植物の種組成が単純になっていくのです。
しかし、鹿の環境適応力というのは驚異的であり、本来苦手である斜面であっても生きていくために上り下りするようになります。それは食生活にも当てはまり、食べるものが無くなると今まで食べなかった植物だけでなく、最初はあまり関心を示さなかったものまで食べるようになります。すると、貴重な植物なども食べるようになり、自然景観や生態系が失われていくこととなるのです。
鹿の食害が激しいところでは、ディアラインと言って、鹿が届く高さまでの植物が食べ尽くされてしまい、その境界線が線のように見える場所まで出てきます。
参考
森林における 鳥獣被害対策のための -森林管理技術者のためのシカ対策の手引き ガイド - (平成24年3月版)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/pdf/gaide_all.pdf
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先の回答に補足します。
シカは生えた始めたばかりの植物の新芽や柔らかい葉を好みます。どの植物でも一様に食べるのではなく、アオキのように見つければすぐ食べるものから、他のものがなくなってから食べるものもあります。
シカの好物としては、オオバユリ、オキナグサ、オミナエシ、オオバギボウシ、コバギボウシ、クガイソウ、クサボケ、クサボタン、クルマユリ、クロユリ、コオニユリ、ソバナ、タカネバラ、タマガワホトトギス、タムラソウ、ツバメオモト、ツリガネニンジン、トモエシオガマ、ノコンギク、フシグロセンノウ、マツムシソウ、ミヤマエンレイソウ、ヤナギラン、ヤマユリ、ユウガギク、ワレモコウなどがあります。
夏に最もエサが豊富なのは樹木の伐採跡地で、冬季には落葉広葉樹林と常緑広葉樹林内です。特に冬季には食物が減るため、アズマネザサ、ミヤコザサ、ミヤマクマザサなどのササ類や針葉樹の葉や樹皮、どんぐり、落ち葉などを食べます。
農地で被害にあいやすい農作物は、イネ、ムギ、大豆、トウモロコシ、シイタケ、ホウレンソウなどの緑黄色野菜です。また人里に出てくると、集落内にある雑草のほとんどがエサになり、レンゲ、クローバー、ナンテンやサカキなども食べます。
植林木では、広葉樹の植栽木はほとんどが食べられ、スギやヒノキも幼樹の葉が柔らかく多くが被害にあいます。北海道ではイチイ、トドマツ、アカエゾマツの新植栽木の葉や新芽が多く食べられます。
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