同じことで困っている人はたくさんおられます。質問するだけでも貢献に繋がります。
先日、知り合いの方から冷凍された鹿肉を頂きました。刺身が美味しいよと言われたのですが、生で食べても大丈夫でしょうか?
寄生虫などの心配はないのでしょうか?
寄生虫の感染や腸管出血性大腸菌、E型肝炎などの食中毒のリスクがあるため、必ず加熱調理してください。
生食は上記の感染リスクがあり大変危険ですから、絶対にやめましょう。冷凍処理すれば寄生虫は死滅しますが、ウィルス類は死なないので、E型肝炎や食中毒のリスクがあります。
鹿肉は猪肉と比べてE型肝炎リスクは極めて低いらしいが、ゼロではありません。
E型肝炎とは、E型肝炎ウイルスによる急性ウイルス性肝炎です。
潜伏期間は3〜8 週間(平均 6 週間)です。発熱、吐き気、腹痛、黄疸、肝腫大などの症状が出ます。
特に妊婦では劇症化しやすいため、注意が必要です。
国内では、ブタ、イノシシ及びシカなどから抗体が検出されており、これらの食肉及び内臓の生食、
または加熱不十分での喫食が原因となる恐れがあります。
実際にこのような事例がありました。
2003年8月に特定のシカ肉を生で食べた4名が6〜7週間後にE型肝炎を発症し、患者から検出されたHEVと一部保存されていたシカ肉から
検出されたHEVの遺伝子配列が一致したこと、当該シカ肉を全く食べていないか、又はごく少量しか食べなかった患者家族は
HEVに感染しなかったことが確認され、特定の食品の摂食とE型急性肝炎発症との直接的な関係が確認された最初の事例とされています。
対策はただ1つ、加熱して食べましょう。
肉の中心温度が75℃に達して1分以上の加熱をすれば、感染は予防できます。
調理方法により、75℃以下で加熱する場合は、蓄積温度で75℃1分の加熱と同等の効力を得られるよう、調理時間を長くしてください。
参考
流通と衛生管理 | 日本ジビエ振興協会
http://www.gibier.or.jp/rule/
ジビエ(野生鳥獣の肉)はよく加熱して食べましょう | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032628.html
活動場所 :広島県
このFAQにコメントがあればお願いします。
はじめまして、確かに生はおいしいですが当たるときもあります。
生シカ肉を介するE型肝炎ウイルス食中毒事例について
今般、兵庫県におけるシカ肉の生食を原因とするE型肝炎ウイルス(以下「HEV」という。)食中毒の発生事例が英医学誌「THE LANCET」に掲載されたところです。
今回報告された事例は、特定のシカ肉を生で食べた4名が6~7週間後にE型肝炎を発症し、患者から検出されたHEVと一部保存されていたシカ肉から検出されたHEVの遺伝子配列が一致したこと、当該シカ肉を全く食べていないか、又は極く少量しか食べなかった患者家族はHEVに感染しなかったことが確認され、E型急性肝炎発症と特定の食品の摂食との直接的な関係が確認された最初の事例とされています。
つきましては、本事例を踏まえ、E型肝炎の感染防止の観点から、野生動物の肉等の生食は避けることが望ましいこと、特にHEVは妊婦に感染すると劇症肝炎を発症し、死亡する率が高いという研究結果があるため、妊婦は特に野生動物の肉等を生で食べることは控えるべきであることについて周知方よろしくお願いします。(厚生労働省ホームページより)
らしいので、ご心配なら 唐揚げやホットプレートでの焼きしゃぶもおすすめです^^。
のなんさん、回答誠にありがとうございます
シカ肉に関わる人獣共通感染症について補足させていただきます。
若い頃には馬刺しとともに鹿刺しもよく食べました。おいしいものですが、今では感染症が増えてシカ肉は生では食べられなくなりました。これは人と動物が共通して感染するもので、細菌やウイルス、寄生虫が原因になっています。
危険性の高いものから挙げると、細菌性の食中毒を起こすものでは、大腸菌(O157)、サルモネラ、カンピロバクター、ブドウ球菌があります。いずれもシカが病原体を持っているものです。
次に危険性がやや高いとされているものでは、日本紅斑熱(病原体はリケッチャ)とライム病(細菌)です。いずれもシカについてくるダニが媒介しています。
後は危険性は低いものの、起こりやすいものでは、狂牛病(BSE)に似たプリオンと呼ばれるタンパク質が原因の慢性消耗病(CWD)があります。これは現在は北米とカナダに発生が限られていますが、日本ではシカからの発生はまだ確認されていません。
シカ肉でのウイルス感染ではE型肝炎がよくニュースになります。すでに詳しい説明が記載されています。まれに劇症化します。
結核もシカでは感受性が極めて高いものの、多くはニュージーランド産などの輸入肉に限られ、日本の野生シカでの発生は低いと言われています。
ネズミや犬からもたらされやすいレプトスビラ症も稀に感染する場合があります。
原虫や寄生虫によるものでは、トキソプラズマ、クリプトスポリジウム、馬肉でも発生する住肉胞子虫、肝蛭などがあります。
困ったことがあれば、気軽に聞いてみましょう。似た質問がすでにあっても遠慮はいりません。状況は1人1人違います。また最新の情報が出てくるかもしれません。